2025年 スリランカの旅 第4章 アヌラーダプラからトリンコマリー、再びアヌラーダプラ
第4章 2/21(金) アヌラーダプラからトリンコマリー、再びアヌラーダプラ
今日は、アヌラーダプラから約100km東のトリンコマリーという街にtukで行き、N君の奥様の妹さんの家に泊まるという予定だ。
トリンコマリーという街は東海岸沿いにあり、行きたかった場所の一つだ。
2009年に内戦が終わるまで、東から北方面の地帯は激戦地だったのだ。
シンハラ人とタミール人の内戦だが、そのまま仏教徒とヒンドゥー教徒との争いでもあった。
当時は一般人の出入りは厳しく制限されていた。
平和になった今もその方面はタミール人が多く暮らしているという。
小生からリクエストしたわけでもないのに、ここへ行けるというのはラッキーだ。
朝食のスリランカ式カリー、カリーと言うよりはスパイス炒めと言った方が適当かもしれない。
ココナッツとひよこ豆の2種類に、今朝はご飯ではなく細いソーメンの塊のような麺、ストリング・ホッパーというもの。これは米粉の麺だろう。
麺は食べ慣れているので食べやすいし、炒め物はとてもやさしい味だ。
ココナッツカリー
ダルカリー
ストリングホッパー
今日は別の場所に宿泊して、明日はアヌラーダプラのホテルに宿泊する予定なので、N君の家族と記念写真を撮ったりしてから9時頃に出発した。
100kmはあるので3時間半くらいはかかるだろうとのことだ。
まずは市内で鉄工所に寄る。
紹介したい人がいるという。
鉄を研磨する匂い、音、オイルの匂い、久しく触れていなかった工場の匂いだ。
紹介された人はここの職人さんでN君の瞑想友達というひげもじゃの人物。
次はうちにも来てくれと言う。
彼らの話に出てくる瞑想のマスターは2年前に亡くなっている。
工場を後にして出発。
アヌラーダプラのジャンクションで東へ大きく曲がってからトリンコマリーまではほぼ1本道だ。
昨日行ったミヒンタレーはこの1本道の途中にある。
風が気持ち良い。
いくつかの街を通り抜けていくが、水田が広がる田園風景がほぼ残りを占める。
この時期、すでに刈り取りが始まっていて、地方によっては1年に3回刈り取りがあるらしい。
さすが熱帯地域。
コメの自給率はほぼ95%とのことだ。
驚いたのは、刈り取ったコメを公道に干していること。
さすがに道路全面に干してはいないが、片側車線の1/3位まで占拠しているところもある。
都会ではさすがに見られないが。
車は当然これを避けて走って行く。
バスも走るのだ。
刈り取ったばかりなのでまだ赤っぽい色をしていて、初めは何かと思った。
途中のお茶屋さんでティーブレイク。
しかし、色々な動物が道路を横断する。
犬はもちろん(この国は犬が多いと思う。)、猿、巨大なトカゲ、牛、山羊、孔雀等々、猫はあまり見ない。
車は皆スピードを上げているので、結構ぶつかっているんじゃあないだろうか。
トラック、バスといった大型車が強烈な追い越しをかけてくる。
ベトナムやインドに比べてクラクションはそれほど頻繁ではないが、日本とは比べ物にならない。
ただ、このクラクションは「どけ!」という意味ではなく、「俺はここにいるという」意味でのクラクションなのだ。
やはり風や空気、匂いを感じながらのドライブは気持ちが良い。
運転する方は大変だろうけど。
終着地まで30分くらいのところに親戚の家があった。
N君の奥様の妹さんの家族のお家。 田園の中の一軒家の趣だ。
そこで出会ったのがRio君、10歳くらい(年を聞いたのだが忘れてしまった。)の目のクリッとしたNice boy。
リオというのは、ブラジル音楽を愛好する小生には覚えやすい名前だ。
そして生後約一か月の赤ちゃんとお母さん。
赤ちゃんは、まだ大人の手の大きさくらいしかない。
猫と犬多数と生後二か月程度の子犬5匹。
猫も犬も人懐っこくて可愛い。
リオ君と子犬たち
母犬がこちらへのんびりと歩いてきた。
リオ君が犬の両手を持って横にすると間髪を入れず5匹の子犬が乳に吸い付いた。
猫は優秀なネズミハンター、すると犬はと聞くと、猿よけらしい。
特にred faceは家に入り込んで悪さをしたりするので、その役割があるという。
N君は、この家のトイレは例の小生にはハードルが高いトイレなので、どこか他に泊まろうと言う。 屋外のトイレを使わせてもらったが、それほどハードルは高いと思えなかったが、そこはお任せします。
このお宅でお昼をごちそうになった。
ミートボールのようなものが入っているカリーがあってこれが実に美味しい。
肉としか思えなくて、これは何かと聞くと「ソヤだ。」と言う。
調理前の製品を見せてもらうとソイ、つまり豆ということなのだ。
これはスーパーに売っていそうだから買って帰ろう。
このお宅のランチもとても美味しかった。
ストローを使わずに飲むのはなかなか難しいココナッツ。
ココナッツカリーとソヤカリー
ソヤ
このお宅で3時頃まで休憩。
のんびりとしていてとても良い時間が過ぎていく。
これからトリンコマリーへ向かって、帰りにホットスプリング(温泉)に寄ってここに帰って来るという予定だ。
温泉?ということは水着の準備が必要ということだ。
荷物を置いてリオ君も一緒に出掛ける。
彼はとても人懐っこくてかわいい子なのだ。
まだ、シンハラ語しかしゃべれないので何を言っているかわからないが、表情としぐさで意思疎通できる。
途中、誰もいないレイクへ寄ったりする。
象の物見台があるところを見ると、ここは象の生息地なのか。
N君とリオ君
象見台
しばらく行くと、N君がtukを停めて、向こうを見ろという。
野生と思われる象がゴミ捨て場で食べ物をあさっていた。
トリンコマリーに近づいてくると、街と人の雰囲気が変わってきた。
ここは、タミール人の街、ヒンドゥー教の街なのだ。
2009年までここを含む北東地域はシンハラ人とタミール人の紛争地域だったのだ。
紛争が終結してからは漁港、ターミナル、観光地として賑わっている。
額の真ん中に印をつけたヒンドゥー教の人たちも多い。
そういえば、スリランカのうなずく首振りもインドと同じく首を横に振る形のような気がする。
今まであまり意識してこなかったけれど。
ヒンドゥー教の寺院、コネスヴァラム寺院に行く。
露店が並ぶ参道を歩いて行く。
このスリランカ人の大人と子供、そして日本人の組み合わせは結構珍しく映るようで、人々の目が興味津々。
リオ君はお友達とも会ったようだ。
シヴァ神やガネーシャ神等々、インドではおなじみの神様が登場する。
スリランカの仏像が金ぴかなのに対して、こちらの色遣いは何色も使ってとてもカラフルだ。
寺院からインド洋を臨む。
途中、Hot springに寄ることになっていた。
カンニヤ温泉。
ここも有名な観光地だ。
ここは日本の温泉とは相当違う。
四方を壁に囲われた広い空間に約2m四方の井戸のような四角い穴が10ヶ所くらい空いていて、そこに湯が沸いている。
日本人としては、そこに浸かりたい気持ちになってしまうが、深そうなのでそれは無理。
また、そのようにして使うものではない。
バケツでお湯をすくってかぶるのだ。
バケツがちょうど良く壊れて穴が開いていたりするので、ホットシャワーのようになる。
我々3名は水着を持ってきていたので、頭からかぶる。
お湯は38~40度くらいで、風呂に慣れている日本人には良い塩梅だ。
程無く現地の女性たちが多数やって来た。
普通は衣服を着ているので足を濡らす程度なのか。
我々3名の銭湯状態は珍しいようだ。
いや、しかしシャンプー禁止と書いてあるということはこれで良いということだろう。
わりと長い時間楽しんでここを出ると、白人の団体客とすれ違う。
彼らが来る前に出て正解だった。
リオ君とはお湯をかけあったりして遊んですっかり仲良くなった。
N君から、この辺りには良いホテルが無さそうなのでアヌラーダプラへ戻らないかとの提案があった。 小生はここN君の親戚の家でも問題ないし、もう18時頃になるし、これから帰るとなると暗くなった道を再び100km近く走ることになるよと返したが、夜道は全く問題ないとの答え。
結局アヌラーダプラに戻ることになった。
リオ君や動物たちとももう少し遊びたかったという思いを残して帰路につく。
tukが走り出すとリオ君が自転車で追っかけてきて別れを惜しんだ。
良いなあ。
サンセット後の西の空が広範囲にすごくはっきりしただいだい色に染まる。
2018年にキャンディからコロンボに向かって乗った列車から見た夕暮れの空もこんな感じだった。
しかし、今朝N君の家族とは写真を撮ったりして別れを惜しんできたのにまた舞い戻るというのは、ちときまりが悪いではないか。
ま、いーか。
夜道をひたすら走っていると、街灯もあまりないのでスピードの感覚が分からなくなる。
すっかり暗くなるとさすがに風が涼しすぎるように感じられてきた。
tukの客席の横のカーテンを下ろしてみると、風の吹きこみ方が変わって少しはましなようだ。
でも結構冷える。
tukは休憩なしで結構とばして2時間半くらいでアヌラーダプラに着いてしまった。
行きに比べてかなり速い。
アヌラーダプラの街でライオンラガーを仕入れる。
普段は飲まないN君もこの日はさすがに疲れたのか、ラガーより少し強めのライオンスタウトを仕入れた。
N君宅に戻ると21時過ぎ。 やっぱり笑われたけれど、また帰ってきてくれてうれしいとのこと。
途中で連絡をしてくれたのだろう、夕飯も用意されていてありがたいことこの上なかった。
アッパー(ココナッツミルク入りクレープお椀状)付きの夕飯
楽しくて変化のある一日だった。
リオ君はnice boyだった。
良い若者に成長するだろう。
その頃にまた会ってみたい。