第2章 2/23 マラケッシュ
昨日は旅の疲れもあって、しかも酒も飲まずに早く寝てしまった。おかげで4時に目が覚める。
まだ外は真っ暗。
今日の予定を立てたり、日誌を書いたりしておそらく街が目覚めるであろう時間まで過ごす。
まず初めにやることは朝食。これは、フナ広場へ行けば何かあるに違いない。
そして必ずやらなければいけないのが、明日のメルズーガ行きのバスチケットをゲットすること。
売り切れてしまう可能性もあるのだ。
明るくなった7時半頃から行動開始。
朝は日本並みの冷え込み。防寒がしっかりしていないとダメ。
セーターとダウンで正解だ。

フナ広場は昨夜の喧騒が幻だったかのように静かなただの広場になっている。
掃除人が沢山いて、目立つごみも落ちていない。きれいだ。
周りのカフェとオレンジジュースの屋台は開店し始めている。
カフェでパンケーキとコーヒーにオレンジジュースの朝食。
ボリュームたっぷりで美味しくて20DH(約240円)は安かった。


明日乗る筈のバス、Supra toursの事務所は、昨日降り立ったマラケッシュ駅のすぐ近くにあるとのことなので、フナ広場脇のバス停が集中しているところでマラケッシュ駅を通るバスを探して待つ。
クトゥビアモスクは目印にとても便利だ。



バス停④-No.5のバスを見つけて(係のおじさんがいるので便利だ)、マラケッシュ駅まで何と4dh。
昨日のタクシー料金は25倍だった。

マラケッシュ鉄道駅

二日目の街歩きで地理を大体把握することで当地での無駄な金はなるべく出ていかないようにする。
駅近くのONCF(国鉄)事務所でバスチケットをゲット出来て一安心。
まだ、時間は午前9時を回ったばかり、今日はフリーなので新市街地から旧市街へ歩いて帰ろう。
駅のトイレはタダだし、わりと清潔なので利用しやすいのだ。
wifi無でも使えるGoogleマップを見ながらATMを使ったりしながらのんびり歩く。


ただ、そうのんびりんもしていられなくなってきた。
陽が高くなるにつれてアフリカの強い日差しが照りつけてくる。温度がどんどん上がってくるのだ。
寒い時間に出てきた格好ではきつい。
一旦戻って着替える必要がある。
今日は雲一つない快晴だ。
南側に見える雪を抱いたアトラス山脈の白い山並みが美しい。

確か4000m級の山もある筈だ。
日本アルプスのふもとの街のようだ。
まだ午前中だから、迷路と言われるスーク(市場通りと言っていいのだろうか。)を歩いてみて昼食をどこかで取ろうと計画する。
明るくなって分かるのだが、泊まっているホテル・ガリアとフナ広場はすごく近い。
フナ広場とお茶

昨夜、幻想的に見えていたクトゥビアモスクの見え方で、迷ってもフナ広場との大体の位置関係はつかめるのだ。
スークの道は狭く、人、自転車、バイク、自動車、馬車、ロバ車等がひしめき合っている。




那覇のマチャグァーと少し雰囲気が似ているが、こちらは迷路だ。
しかも、さすがに腕は引っ張られないものの、呼び込みは強烈で落ち着いて商品を見る気にはなれない。
そして、呼び込み、物乞い、乞食等々。
値札は殆ど付いていない。
どうも値段もあってないようなものらしい。
温度はどんどん上がって暑さが激しくなってくる。
なんだかくらくらしてくる。
歩き回って昼も過ぎてしまった。
フナ広場の周りには広場を見下ろすことができるテラスがあるレストランが囲んでいる。
その一つに入ってみる。
空いているし、アトラス山脈もくっきりと見える。
とても落ち着く。



コーランの放送が広場に響き渡る。
何だか学生時代の革マル派のアジ演説に似ている。
これから何回も食べるであろうタジン鍋を頼んでみた。
牛と鶏卵だ。
オリーブの実の漬物が出てきて、ビールがあったらさぞ美味しく飲めるだろうと思うのだが、イスラム圏だからご法度。


出てきたタジンは絶品だった。

タジンてこんなに美味しいものなのか。
ビールがあったらいくらでも飲めそうだ。
しかし、そこはお茶でいただく。
パンを使ってもすごく合うソースだ。
これは一体どうなっているのか。
さらにポテトも付いたりするので、パンと一緒にお持ち帰り。
屋台のオレンジジュースと一緒にホテルへ持って行けば、ティータイムが過ごせるのだ。
普段のこういう状況だとビールを飲んでしまうのだが、早くもティータイムなどと考えている日和見主義者だ。
ホテルの中庭。リヤド(邸宅)の中庭

明日のバスは、調べたところによれば、まずドライバーに終着のメルズーガのほんの少し手前のハシ・ラビト村へも寄ってくれと注文を付けて、そこで降りて、かつ到着が21時頃なので、宿の迎えの人と会えないと砂漠の街で路頭に迷うという可能性があるので、行動計画を考える。
まあなんとかなるだろう。
ちっとも考えていないのに、考えたつもりになって安心してうとうとしてしまった。
歳のせいなのか、ちょっとうとうとすると行動が億劫になる。
しかし、まだ15時頃で陽は高い。
明日は移動だから、決めていた史跡地区へ行くことにして、起き上がって行動再開。
結構頼りにしているGoogleマップは突如道案内が始まったりするのだが、正確だ。
おかげで、アル・マンスールモスクへもすんなり行ける。




木彫りやタイルの美しさが印象的だ。
日本人団体観光客を見かける。
日本人はわりといるみたいだ。
その代り、あれほどどこでも沢山いた中国人観光客は全くと言っていいほど見かけない。
フナ広場へ戻って少し買い物をする。
値札はない。
250と言ってきたので高すぎるから120にしろと言うと、200だと言う。
ならば150と言うと握手を求めてきて商談成立。
品物は悪くないのに、何故こんな面倒な商いの方法なのだろう。
17時頃、まだ日は高いが、フナ広場ではそろそろ大道芸が始まっている。


投げ銭をすると、このようなサービスも。

この時間帯は、音楽よりもビジュアル的な猿回しとか、身体雑技とかの大道芸が多いようだ。
漫画のような笛でコブラを操る蛇つかいというものを初めて見た。
ホテルへ戻って夕食時まで休憩。
この頃になるとフナ広場から宿までの最短の怪しげな道を覚えた。
二日目からのいつものパターンだ。

20時過ぎ、再びフナ広場へ。

昨夜と変わらない熱気、人出。
大道芸の種類も増えた気がするし、人出もかなりのものだ。
昼間のビジュアル的なものから、夜は音楽が中心になってくる。
エレベそっくりな音でフレーズを延々と繰り返すのは電気ゲンブリ、これに打楽器、バイオリン、唄、踊り等が絡んでモロッコ風ソウルミュージックとでもいうのだろうか、グナワミュージックを奏でている。
円陣を組んで色々な楽器が絡んできて大規模パゴージ的になっているものもあれば、少人数でアコースティックなものもある。
やはり大音量の方が人だかりは多いようだ。
ずっと聞いているとトランスミュージックのように幻惑的な気分になってくる。
今晩はケバブを食べたくなって、誘われて屋台の一つに座る。



ここはハズレ。
大して美味くもなく量だけは多いが、注文したかどうか怪しいようなものも出てきて値段も高い。
昼間はきちんとしたレストランだったから注文と計算もはっきりしていたし味も確かだった。
やはり、空いている屋台というのはそれなりの理由があるわけだ。
ま、雰囲気も楽しんだし法外と言えるものではないので、オレンジジュースで口直しをして帰路につく。
相変わらず、ハシシ、大麻だかの売人がすり寄ってきたり、キメまくったような女性が道端に座り込んで何やら叫んでいたり、物乞い、乞食、客引き等々、混沌の世界だ。
鉄道駅でも見かけたが、むき身の銃を持ったポリスが3人組でそこここにいる。
時世柄、分かる。
毎晩いったいどのくらいの人がフナ広場にいるのだろうか。
車やバイク、馬車やトゥクトゥク等も侵入可能なのだ。
もしここが標的になったらなどと考えるとぞっとする。
混沌を現実化したようなジャマエルフナ広場、どのようにしてお開きになるのか見てみたい気もして去り難くもあったが、明日は12時間のバス旅、体調を整えておくことが肝心。
怪しげな細い道を宿に引き上げた。
深夜のホテル猫


