第5章 3/15(金) カッパドキア~カムッパレ
今日も良い天気だ。
今日の迎えは9時45分。
イフララ渓谷のハイキングを中心としたグリーンツアーというものだ。
一旦ホテルをチェックアウトして荷物を置かせてもらう。
とても快適なホテルだった。
スタッフの対応も柔らかで感じが良かった。
今日のツアー車は15~16名は乗れる大きい車。
ドライバーとガイド、客は僕を含めて6名。
昨日までの二日間よりはずっとオフィシャルっぽい雰囲気だ。
ガイドのハッサン君の英語は早口でとても聞き取りにくい。
絶景ポイントに立ち寄りながらバスは進んでいく。
ただ、この二日間で堪能した後なので、あまり感動しないし、土産物屋スポットばかりなので、もうどうでも良い感じ。
鳩の谷
このくらいの標高の土地だとロバが適しているのだろう。モフっとした感じ。
しばらくして、カイマクルの地下都市に到着。
規模は大きく、地下5階まである。
観光的に相当整備された所で、内部の灯りや順路表示もきちんと整備されているが、頭をぶつける箇所もある。
しかし、一昨日のマゼウスで、より整備されていない地下都市を経験しているので、こちらの方は刺激が少ない。
これで、古代灯りの少ない状態― もちろんなにがしかの灯りがないと生きていけない筈だ ―を想像すると恐怖だ。
これに似た場所は、沖縄の旧海軍壕、ハノイの軍事博物館で見たことがある。
後ろから大騒ぎの中国人団体観光客がやって来た。
スポットでダブらないように進んで行く。
一昨日の経験で全て終わっている感じだった。
地下都市観光の次は、今日メインんのイフララ渓谷へ向かう。
結構遠いとは聞いていたが、相当遠い。
ツアー以外で行くのはとても難しいだろう。
ただ、途中の景色は絶景だ。
例によって、気の遠くなるような地平線と真直ぐの道。
パムッカレから出る道路で、220km真直ぐな道路もあると言っていたな。
イフララ渓谷に着いた頃は天気は下り坂。
河に向かって深く刻み込んでいく渓谷はとても見事なものだが、正直言って渓谷の美しい場所は日本にはものすごくある。
だから、渓谷自体はどうということはないのだが、ケーブの住居跡がたくさんあって、それが珍しい。
雨もぽつぽつ降って来た。
昼食は、渓谷観光用のレストランで。
ハイキングというほどは歩かなかったし、渓谷の後訪れた教会跡も、二日間を経験した後にはあまり感動しない。
はっきり言って、3日目のツアーはいらなかった。
二日間で堪能しきった感じがするし、何よりファティさんとの内容の濃い会話や、昨日の家族訪問とか、二日間に素晴らしいものが詰め込まれていたような気がする。
これは贅沢に言いすぎかな。
ともあれ、素晴らしい経験をさせてくれたStream Co Tours社とガイドのファティさんに感謝したい。
17時頃にツアー終了、ホテルまで送ってもらう。
20時発のバスの時間まで一階のロビーで休憩させてもらう。
しかし、もうチェックアウトしたのにこの寛ぎ感は何だ。
wifiは使い放題だし、チャーイのサービスまである。
スタッフの穏やかな感じもとても良いし、このホテルはすごすぎる。
今晩の10時間のバス旅は、過去インドで中々に厳しい体験をしたので結構ストレスだ。
昼食が遅かったので夕食は取らず、水分も控える。
ビールなんてもってのほかだ。
19時頃にオトガルのメトロ社前に行く。
だいぶ冷え込んできている。
ほぼ定刻にバスがやって来た。
きれいなバスだ。
色々と行き先を言うので、僕の行き先であるデニズリが終点ではないようだ
行き先によって荷物の収納場所が違う。
席は1+2の横3席で、そんなに狭くは感じない。
靴を脱いでも良いようにホテルの使い捨てスリッパも持参している。
これでトイレさえうまくいけば良いのだ。
などと考えると、これがストレスになってしまうのだ。
出発して数十分でどこかのオトガルに停車した。
ここが、バスが百数十台停まっている巨大バスステーション。
暗くて照明も少ないのでどこだかまるで分らない。
夜の9時頃だが外が何だか騒がしい。
人々がたくさん集まっていて、太鼓が打ち鳴らされ、歌を集団で唄い騒然とした雰囲気だ。
何かの集団示威行動のようにも見える。
もう殆どトルコ語オンリーの世界なので何が起こっているのかまるで分らない。
バスに向かって何かを叫んでおり乗り込んできそうな勢いだ。
中には、バスに向かってフロントガラスに泡スプレーをかけている輩もいる。
何が起こっているのかまるで分らないのと、外の照明が暗くて、一体どのくらいの大人数が外にいるのか良く分からないというのも不安をあおる。
とても外に出て行ける雰囲気ではない。
政治運動なのかと少し緊張したが、どうもそうでもないらしい。
よく観察すると、どうも一人の若者を集団が讃えたり、激励したりしているようなのだ。
そんな集団が沢山あるのだ。
こちらのバスにも示威行動をしてくるようだ。
が、ドライバーやスタッフは平然としているし、乗客も静かに外の様子を見ている。
そのうち、このバスにも讃えられ激励された若者が一人乗って来た。
坊主頭の若者だ。
バスは別れを惜しむようになかなか発車しない。
20分位停車していただろうか、時間が経つのが長く感じられた。
ようやく発車したが、この騒ぎの中オトガルから出るのにも時間がかかる。
一体この騒ぎは何だったのか、知りたいので、デニズリへ着いたらファティさんにメールで聞いてみよう。
バスは走り出すと相当にスピードを上げた。
トルコはクラクションが少ない。日本並みだ。
席は快適だし、体調も悪くないのだが、トイレのストレスからか殆ど眠れない。
助かったのは、ほぼ2時間おきに休憩があることで、これでインドのようなことにはならずにすんだ。
念のために言っておくと、インドのようなこととは、危機一髪で危険を回避できたので最終的な事態には至っていないのだ。
トルコはバス大国で、夜行長距離バス網も張りめぐらされており、休憩施設もドライブインから深夜スーパーマーケットまで様々な施設が準備されていて、みな立派できれいな施設なのでその点は安心だ。
賑わう夜のドライブイン。バスばかりだ。
オトガルを出発してからわりとすぐに30分ほどの夕食タイムがあった。
夕食は食べていなかったので助かる。
スーパーマーケット兼ドライブインのようなかなり大きい施設で、セルフの食堂が併設されている。
ナス、その他の野菜と肉の炒め物とフライドライスだけの軽めの物にしたが、これが美味しかった。
こういうのは家でも作ってみたいなあ。
シートは狭くはないといえ窮屈は窮屈だし、トイレのストレスもあってあまり眠れはしないが、20分位ずつ、断続的にうつらうつらしている。